稽古人紹介

稽古人紹介

一二三会でお稽古をしている人は、直心の交わりで築かれた仲間です。
一人一人の個性を生かし、日本文化と精神の素晴らしさに触れ、研鑽を積んでいます。

石井 瑛啓

同じものを見ていても受け取る人の感受性によって、石ころにも見え、あるいは翡翠にも見えるほど大きく違うものですね。石井さんとのお稽古は、静寂な時間ではありますが、いつもダイナミックなものをやり取りしていますね。これからも見聞を広げ、更に魅力的な方になっていかれることを心より祈っています。(久保)

思い返してみると、私は長らく日本に憧れる日本人だったのでした。

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私の叔父は静岡でお茶農家を営んでおります。お手伝いをしながらよく聞いていたのは、昨今の主なマーケットは日本ではなく、海外であるということ。お茶の中でも特に玉露と抹茶の人気が海外で非常に高まっているということでした。海外ではどうやら”Matcha”が流行っているらしい、そんなぼんやりとした知識を頭に入れつつも、一体抹茶にはどのような歴史があって、どのように点てて飲むのかなど、特段学ぶことはしていませんでした。

それでも身体のどこかでは、日本の文化の持つ洗練された美しさに惹かれ、憧れていたのかもしれません。 同時に、日本の文化の持つ壮大さを多大に感じ、踏み入ることのできない壁のようなものも感じておりました。

大学では、多くのまわりの同年代と同じように、海外への憧れを抱きながら、海外旅行を楽しんでいました。つたない英語で会話をして、毎秒のように日本とのギャップを感じながら、しかし心を踊らせながら。
ただふとした時に、海外で何者でもない自分という存在が浮かび上がってくるような感覚がありました。生まれ育った日本について何も語ることのできない自分に、そこはかとない不安感を感じたことを覚えています。

自分は一体何者であるのか、何か自分ごととして世界に語れることはないのか。
比較的身近な存在であったお茶から何かを始めようと、インターネットで検索をしていて見つけたのが、一二三会でした。

どこか落ち着かない毎日を過ごし見学当日、そもそもお稽古とはどのようなものなのか、東京に畳のお稽古場などあるのか、見学であっても何か怒られるのではないか、さまざまな思いが頭を駆け巡る中、護国寺のお稽古場の見学にて、茶道の世界、そして久保比登美先生に魅了されたのでした。
はじめてお茶室というものに踏み入れた時、大変穏やかな時間が流れており、ここは東京なのかと疑うほどでした。
すっかりと椅子での生活に慣れていた私にとって、正座はこんなにも痛いものであるかと感じるのとともに、畳に座ることの安心感、風に漂うい草の香り、重心を低くしてみることではじめて見える茶室での世界、五感のどれもが活発にはたらきあっているのを感じました。普段どれだけあくせくと頭と身体を使っているのかということに気付かされ、環境をがらりと変え、自分のリズムを何かに委ねることの大切さを知りました。

少しずつ茶道に慣れていくと、ただただ日本に憧れていた一日本人だった私が、ふとした瞬間に日本の文化を纏っているような感覚になることがありました。
茶道は総合芸術とも評されるように、興味が茶道から別のところへ派生していくことがよくあります。私自身、はじめは茶道について学び所作を覚えるだけで精一杯でしたが、次第に茶道の道具に対する興味が出始め、花や和歌、着物や能など、興味の幅が広がり続けています。
これは単に茶道とたまたま出会ったから、というだけではなく、穏やかかつ豊かな人間性を持った社中の皆さんの雰囲気や、久保先生の魅力、教えなどによるところがほとんどであると感じます。毎回のお稽古や行事での一期一会が心からの楽しみになっています。

茶室での営みとは、一見すると一服の茶を囲み喫すること、これ以上でもこれ以下でもないのかもしれません。ただその中に驚くほどの発見と、先人たちの知恵が凝縮されていることに常々気付かされます。
“枯れ木に花咲くより生木に花咲くに驚け”(三浦梅園)
日常の再発見の旅の、入り口に立ったにすぎない若輩者ですが、こんな良さが茶道にはあるのではないかと感じています。

石井 瑛啓

志村 凜

赤ちゃんの凛ちゃんを知る私にとって、凛ちゃんと一緒に茶道を学べることは感慨深いものがあります。お茶の神様にお礼を伝えます。凛ちゃんが外国人の方へ茶道を通して日本を紹介すると日本ファンが増えること間違いないです。よろしくね!(久保)

みなさんこんにちは。 2021年4月、大学1年入学の時から一二三会に通っています志村凜です。
大学では、日本文学、伝統芸能、芸術などを多方面から分析し、それを英語で学んでいます。

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祖父が楽茶碗の陶芸家であり、幼い頃から茶道は身近な存在でした。家には沢山の茶碗や茶道具があり、お正月になると親戚で集まり、よくお茶を立ててもらっていました。そのような環境もあり、座学だけではなく、実際に日本文化を体験し、茶道を身につけたいと思っていました。
小さい頃からお茶を習うこともできましたが、母が、「本当に自分に身につけたいことは、自分のお金で習うことで身に付くよ、と友達のお茶のお師匠さんが言っていたよ。」と言っていました。その母の友人は、比登美先生です。
そして、ようやく大学生になり自分がアルバイトしたお金で茶道を習い始めました。毎回のお稽古がより貴重に思えます。 茶道を習い始めてまだ数年ですが、茶道のお稽古の上達だけではなく、自然と身につく所作を日常生活でも心掛けるようになりました。
私の卒業後の目標は、日本文化を世界に発信していくことです。奥ゆかしい日本文化や、茶道のことを世界に発信できるよう日々邁進しております。よろしくお願いいたします。

志村 凜

塩原 道子

塩原さんの「まず、やってみよう!」と、思いっきりのいい気持ちは多くの方の力付けになっていますね。そして、塩原さんの色、形、取り合わせの感性に魅了されている方が多くいらっしゃいます。茶道を通して更に磨きをかけて下さいね(久保)

子どものころ、地域の集会場の完成のお祝いのお茶会がありました。岩手県遠野市。近くに住むお茶の先生が地域の方々をおもてなししてくださった、その床飾りの衝撃は忘れられません。

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いつか、お茶にふれてみたい、という憧れを、仕事で立ち寄った銘木店のショールーム、今は一二三会の稽古場になりましたが、そこで久保比登美先生と出会ったことで叶ったのでした。

お茶のお稽古を始めてから、まず左右対象に正しい姿勢を保てるようになったと思います。
お茶事の料理を学ぶうち、家事力もついたように感じます。
その時一緒にいる、というコミュニケーション力も身に付けました。
源氏物語もひととおり読みました!
もう、こわいものなしです。
着物もひとりで着られるもん。
季節をいちはやく感じ、和歌にします、はまだできませんが、いつか。
なにしろ学びが多く退屈がない、お茶の世界を知ってしまったら後戻りできない遠い道で、私にとってのお茶を追い求めています。

塩原 道子

小林 里佳

小林さんは入門されてからこの2年で、随分と柔らかい印象になってこられているように感じます。お稽古のお帰りの時は特に満面の笑みで、こちらまで気持ちが晴れやかになっています。また、新しい器を出していると決まってそれらを使ってお稽古され、一つ一つできることが増えておられますね。(久保)

初めまして。 一二三会に入会させていただいて丸2年になります。
一二三会には茶道歴が大変長い方から、私のように初めての方も沢山おられます。

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何もわからず思い切って足を踏み入れた世界ですが、久保先生のお人柄の素晴らしさに支えられて、思いがけず居心地が良く、気がついたら2年が経とうとしています。

小さい頃から綺麗なもの、美しいものが好きでした。今思えば美に触れる瞬間を自分なりに探しながらこれまで生きてきたように思います。私の芸術やアートに対する興味の根底には美しいものに出会いたいという気持ちがあり、どのような形であってもいいから美と接することができるような環境に身を置きたいと思っています。

うつわにも美しさを感じるようになったことがきっかけで茶道の世界にも興味を感じるようになりました。「器は料理の着物」と言う美食家として有名な北大路魯山人が、茶道は美の総合芸術大学だと、美と茶道が切っても切り離せない関係であるとおっしゃっていたことが最後の一押しとなり、もうこれは一歩踏み出してみるしかないと思いました。

実際にお稽古に参加する中で、様々な美しいもの、美しいと感じる瞬間に出会えました。季節により移り変わる器や掛け軸、生け花はもちろん、人がお茶を立てる所作、お湯から立ち上がる湯気、茶器の配置など、茶道の世界には多くの美が詰まっていることを発見しました。
まだ茶道の入り口に立っている初心者の身でも、この世界はきっともっと奥深いのだろうと想像できます。今のわたしには知らないこと、感じられないことがまだまだ沢山あり、今後またどのような美に巡り会えるか楽しみにしています。

何気ない日々の中に、仕事に埋もれる日々の中に、このようなほっとする時間、心を調整する時間を持てることが大変ありがたく幸せだと思います。

小林 里佳

津田 悠

津田さんは入門されてから、すでに持っておられた柔らかさが、お目にかかる度に表現されていますね。これまでの経験から芯の強さと柔和さが茶道を通し、よりよく表現されていかれると存じます(久保)

2021年に一二三会に入会しました。茶道自体は過去に5年ほど別の教室でお稽古をしていましたが、海外在住のブランクを経て、再び始めることにしました。

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『一二三会という船に乗りAdventureの旅へ』
・茶道を始めたきっかけ
海外に住む友人を訪れたり、趣味のダンスで国際フェスティバルに参加したりと、海外へ行く機会が度々ありましたが、外国の人々に日本について、特に文化的哲学について聞かれることがあり、自国のことなのに説明ができず恥ずかしい、と思うことがありました。そうした経験から、日本文化を学ぶことのできる機会を探していたところ、「茶道は日本文化の総合芸術」と言われていることを知り、茶道を始めることにしました。

・一二三会を選んだ理由

7年のフランス滞在ののち日本へ帰国して間もなくコロナ禍になりました。先の見えない不安な状況が続く中、静かに心の平穏を持てる時間を作りたいと思い、茶道を再開することにしました。自宅から通いやすい場所で教室を探していたところ、ホームページが素敵だったこと、稽古場の素晴らしい内装、久保先生の丁寧で分かり易いご指導に魅力を感じ、一二三会への入会を決めました。

・一二三会に入ってどんな変化があったか
以前は技術のレベルアップという個人の習熟だけに目が向いていましたが、一二三会に入り、茶道をすること自体がゴールではなく、茶道を通して各々が表現する世界観の美しさを共有することが最上の喜びだと思うようになりました。
会員間でのコミュニケーションにおいても非常に刺激が多く、幅広い年齢層、様々なバックグラウンドや目的を持った方々が集まっているため、話していて非常に興味深いです。
また、着物を着る機会が増えたことで稽古場以外でも着物仲間ができ、ジャズのコンサートや文化イベントに着物で参加する楽しみが増えました。

・今後一二三会を通してどうして行きたいか
日本と海外をつなぐ架け橋となることが私の人生のテーマですが、茶道を通しても何かできないかと考えています。これまでも、しばしば茶道はその役割を担ってきましたが、新しい時代を迎え、今までとは違う新しい形、方法でできることがあるのではないかと思います。一二三会という船に乗り合わせたメンバーと共に、これからどこへ辿り着くのか、冒険の旅にワクワクしています。

津田 悠

花房 希光子

入門した時は独身だった希光子さんは、ハードワークの仕事を経験し、結婚、出産、二人のお子様に恵まれ今は、休会中で家庭の時間を第一優先に暮らしておられますね。年齢、立場によって体験したことを生かし、お稽古に復帰される時期が来たら、基本を鍛錬し、同時に希光子さんのライフワークの探究を再開してください(久保)

大学生の頃、日本文化の何がどのような形でカナダに広がっているか現地研究を始めたことから、茶道への扉が開きました。というのも、カナダで日本文化の中で特に抹茶が抹茶ラテとして普及していたことから、研究を進めるにあたって、茶道の学びも必要になったからです。

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帰国して数年後、その抹茶ラテが逆輸入され、日本の若い人に受け入れられている現実を目の当たりにし、抹茶ラテから茶道の広がりまた継承へ繋がるのではないかと感じました。「抹茶を取り入れ始めている海外の人や日本の若い人に向けて、茶道を体感するきっかけ作りをしたい」と考えるようになりました。

悶々と企画を内に秘めた状態の中、出会ったのが一二三会です。茶道そのもののルールや、教室の先生の意向で決め事やタブーが多いと感じていた茶道の世界で、久保先生の魅力的な考えに引き込まれていきました。

私の斬新過ぎるアイデアに、共感して下さる先生や稽古人の方に支えられ、想いを形にしたのが、月釜「matcha茶会」です。これは、抹茶ラテ点前という創作点前で入れた抹茶ラテと、従来のお点前で入れた抹茶の両方を、お客様に味わって頂く茶会です。

無のものから創り上げる茶会を温かくご指導して下さる久保先生。
一二三会稽古人の熱いチームワーク。
強力な一二三会と出会い、茶会を実現することが出来ました。

これを受け入れて下さる稽古場、先生、稽古人は他にはないです!いつも、一二三会に感謝です。

いつか実現したいと思っていたお茶会の企画が、一二三会に背中を押してもうことで実現し、充実した茶道ライフ…人生そのものを味わっています。

竹原 希光子

今村 郁男

今村さんを慕う稽古人が大勢います。いつも等身大の姿で取り組んでおられ、そのあり方がお点前からも伝わりますね。老若男女が集う一二三会に、今村さんのような方が居てくださり有難いです(久保)

児島君、あの案件どうなった?
何でこんなことになるまでほっといたんだ!
至急、メーカーの鈴木本部長つかまえて、対策練ろう!この案件、ひっくり返すぞ

血圧と目じりがつり上った状態でお稽古場のガラス戸を開く
久保先生と稽古人
一瞬の静寂
釜で湯の沸き立つ松風

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はい、建水あげて
建水、建水、建水あげて
それは水指
はい、建水あげて

そうです、さっきより茶筅の扱いが良くなりましたよ

久保先生の指導のたびに、稽古人が赤くなったり青くなったり
稽古人の・・・のたびに、先生が鬼になったり仏になったり

いつの間にか、背負い込んできた煩悩の塊はどこか溶け去り
稽古場を出るころには気持ちのザワツキはなく、プレーンな自分に
仕事、恋愛、家族、健康、受験、就職・・・
誰もがそれぞれの煩悩を背負い込んでやってきて
稽古場に煩悩を置いて帰ります
いったいどれだけの煩悩が稽古場にはたまっているのでしょうか

月に2回のお茶のお稽古は、いろいろな要素がありますが、自分にとって一番ありがたいのがトランキライザー 精神安定剤的要素です
今日のお軸は?お花は?お茶銘は?お菓子は?
前の稽古人の客として客の稽古、自分のお点前の稽古、道具の準備、後片付け
すべてが気持ちのザワツキに効くんですね
茶室には何も無いが、すべてが詰まっている
不思議な空間であることは、誰もが感じること

教養として、修行として、日本人のアイデンティティーとして、
そしてトランキライザーとして
お茶には、いろいろな関わり方があります
今まで素通りしていたことを素通りできなくなっている自分に気づくとき
つくづく自分の心の中に棲みついた茶道の存在をかみしめることでしょう
一二三会は、稽古人それぞれの「あれやりたい、これやりたい」に、
久保先生がちゃんと応えてくれる そんな稀代未聞なる集まりです
ためしに一度、稽古場にお越しくださいませ

今村郁男

阿部 智子

阿部さんと共に茶道の学びを深めて来たことを幸せに思います。これからもよろしくお願いします(久保)

ふり返れば、学生から社会人になり1年後に結婚、そして二児を出産。どちらも首もすわらない月齢で預け仕事もしてきました。綱渡りのような30年でした。家族の健康に恵まれ、周囲の人々の支えがあったからこそ続けられました。
心から感謝しています。

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そんな中、渇望していたのは自分と向き合う時間でした。
仕事にもゆとりができ、一二三会に入門しました。
一服のお茶から広がる世界に魅せられています。
毎回のお稽古が気づきと学びです。終わりのない旅に出ているよう。
そんな“私の時間”がうれしく、わくわくしています。

そして、改めて日本人に生まれたことを幸せに思います。
床の掛物、茶花、茶碗をはじめとするお道具、お菓子に
日本の四季の移り変わりを感じます。
みずから草木を育て、茶碗や籠を作ってみたいと夢はふくらみます。
いつの日か茶事ができたら……。

一二三会は男性のお稽古人が多く、若い世代が多いのが特長。
点前のお稽古だけでなく、茶事までを学ぶことができます。
が、いちばんは久保比登美先生の物事を追求する真摯なお姿です。
稽古人は圧倒されつつ、その刺激を背に受けて日々精進しています。
私自身はひたすらお稽古に励み、十年後の自分を描いていきます。

阿部智子