京都への旅
とても久しぶりにお弟子さんたちを連れて京都の旅行へ出かけてきました。
今回は上京区にこだわって計画を立て歩いていると、ここもあそこもお連れしたく、行く場所が増えて行きました。また、京都の月釜を体験してほしく、無理を言って大勢でお邪魔してきました。
若い方は携帯からホテルを予約し、アプリを使って乗り換えも道順もスマートに対応できますが、そのようなことが不慣れな方もいらっしゃいます。中学3年生の男子から70代半ばのご婦人と年齢の幅が広い20名で、体力も様々、得意分野もそれぞれの方と楽しく旅を進めるのは、このメンバーで楽しい旅をしようとそれぞれの得意分野を生かし進めていくことかと思いますね。それは日々の稽古で、相手を思い合う心の修練が生かされる時間となったことでしょう。
待ち合わせ場所の楽美術館の玄関で立っていると、表札の前にある藤袴に蝶がやって来ました。この旅はいい旅になるだろうなと予祝からのスタートでした。
20年前、京都で2年間、茶道の勉強を集中した暮らしをしていた時に、先生たちが仰る場所やお祭り、お菓子にお茶、郷土料理を書きとめ、固まった時間ができると、メモを頼りに出かけていました。あの時間が土台となって、こうやってお弟子さん達を連れて歩いている事が不思議ではありますが、あの時、具体的ではなくてもこのような時がやって来るようにも思えていましたね。
今回は特に、利休の足跡をめぐることを目的としたため、運動靴を履いて歩きながら利休に関連するところを歩いて廻ってみました。一日2万歩を歩いた内容で、ご年配者もおられ心配をしていましたが、どの方もケロッとして胸をなでおろしました。
月釜の経験もしたことのないお弟子さん達に、ご亭主やお客様の御婦人方の品のある京都の雰囲気を直接、体験してもらえたことも実りとなりました。丁度、楽美術館で話題にしていた覚入の火入があったことで、自分たちが学んだものがこのように茶会で実際に使われている感激にもお弟子さん達が遭遇でき、より茶道が身近になったことと思いますね。
最後は京都迎賓館に行きました。
迎賓館のホームページに書かれている文章を引用致しますね。
『日本の伝統技能の粋を集めた最高のおもてなしの場 京都迎賓館は日本の歴史、文化を象徴する都市・京都で、海外からの賓客を心をこめてお迎えし、日本への理解と友好を深めていただく施設として平成17年に建設されました。歴史的景観や周辺の自然環境との調和を図るため、日本の伝統的な住居である入母屋(いりもや)屋根と数寄屋(すきや)造りの外観とし、品格のある和風の佇まいを創出しています。建物や調度品には、数寄屋大工、左官、作庭、截金(きりかね)、西陣織や蒔絵(まきえ)、漆など、数多くの京都を代表する伝統技能において匠の技を用いています。』
品格のある空間をゆっくりと進み、イヤホンから聞こえて来る説明と重なり、わが日本をほんの少し外から見た視点に立ち、同時に日本人としての誇りからでしょうか胸が熱くなって来ましたね。
「外国の賓客は、この真心を受け取ってくださるのだろうか」
「少しでも日本を理解していただき友好な関係を築いていけるだろうか」
旅の終わりにお弟子さんたちと駅前の喫茶店でこの旅を振り返る話題に花が咲きました。
政治、経済で世界の方とつながるお役割の方にその分野をお任せし、迎賓館がされている思いは国民として同じ思いを持ちつつ、文化を通して暮らしに近い存在として伝えて行きたいね。そして、何よりも日本人が自国の文化に触れ、自国を愛する国民が増える一助になれたらいいね。と話していました。
茶道を修練していく思いを皆さんと共有できたように感じましたね。
お弟子さんと日々の稽古を重ね、旅を通して茶道を深め、日本に出会えた事に感謝する時間となりました。この経験を生かしてまいります。
旅から帰ってお弟子さんたちが熱心に稽古に励んでいるように感じます。
令和五年和暦長月新月